北海道喉頭摘出者福祉団体 北鈴会

寒風澤医師31


北鈴会のみなさまへ


旭川医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座

医師 寒風澤知明




北鈴会のみなさま、はじめまして。旭川医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科4年目の寒風澤と申します。
研修医の2年間を遠軽厚生病院で学び、その後旭川医科大学に、うつり2年目となります。

恥ずかしながら北鈴会の存在を知ったのは旭川医科大学にうつってからですが、どれほど喉頭摘出患者さんにとって支えになっているかを実際にみて肌で感じることができました。

その北鈴会も今年で創立50周年と伺っております。50年という長い年月の間に様々な苦難があったことは容易に想像がつきますが、それでもみなさまの努力により北鈴会を存続されてこられたということに非常に感銘を受けております。

また、北海道から沖縄まで58団体が加盟する「日本喉摘者団体連合会」において昨年「日喉連認定喉頭摘出者発声訓練士という制度が誕生し、全国統一の基準に基づいたさらなる発展の礎となっていくものと推察されます。現在道内9地区での発声教室、ならびに年5回開催の宿泊発声訓練は喉頭摘出患者さんにおいては大変有意義で心の支えになっていること、また我々医療スタッフにとっても一緒になって患者さんに向き合えるということはとてもすばらしいことと感じております。

現在、医学の進歩により喉頭癌を含む頭頸部癌全体で様々な治療法が行われるようになってきました。腫瘍を栄養とする血管に直接抗癌剤を投与する超選択的動注化学療法をはじめとして全身化学療法、放射線治療などが挙げられますがこれらにより、一昔前に比べると手術による治療は減少しております。喉頭摘出術も以前に比べると減少しておりますが、進行癌であった場合、あるいは腫瘍の種類によっては喉頭摘出術を行なうこととなります。

そのような際に手術をうけられるほとんどの患者様は声がなくなることにまず不安に思われ、なかなか受け入れられないこともあります。我々医療スタッフも手術後の状態をできるだけ丁寧に説明しておりますが、患者様の不安感を拭い去ることはなかなかできていないのが現状です。そのような際、手術前に北鈴会の皆様に実際に手術後の状態、発声訓練などの北鈴会の浩動などお話しいただくことによって不安がやわらぎ、治療に望めると聞いております。

さて、冒頭でも述べましたが今年は北鈴会創立50周年の記念すべき年でもあります。これまでと同様これからも、北鈴会のみなさまには患者様のサポートをお願いするとともに、私もみなさまとともに患者様がよりよい治療を受けられるように日々精進して参りたいと思います。