北海道喉頭摘出者福祉団体 北鈴会

電制36


北鈴会の皆様へ

                        株式会社 電制   
常務取締役 須貝保徳


 新しい電気式人工喉頭「ユアトーン装着型」のご紹介


北鈴会の皆様には、いつも大変お世話になっております。また、弊社製品の電気式人工喉頭「ユアトーン」を多くの方にご利用いただいており、誠にありがとうございます。

その電気式人工喉頭「ユアトーン」ですが、長年研究開発を続けておりました装着型の完成がいよいよ近づいてきましたので、ご紹介させていただきます。

ご存じの通り、従来の電気式人工喉頭は片手で本体を保持しながら、その先端部を頸部に押し当てて利用するものです。この様に利用する時には常に手で本体を持つ必要があることから、片手の自由が奪われて、電話をしながらメモが取れないとか、両手で荷物を持っての会話ができないなどの制約がありました。これは電気式人工喉頭が抱えている大きな課題のひとつであり、兼ねてより電気式人I喉頭をお使いの多く方々から会話中も両手を自由に使いたいとの要望があったものです。弊社は、それに応えるべく各種の試行錯誤や試作を繰り返し、 ついに皆様に使っていただけるレベルまで到達することができましたので、ユアトーン装着型(WS11モデル)として発売をする予定です。

ユアトーン装着型は写真1のように、声の元となる音を生成する「音源部」、その「音源部」を固定する「固定ベルト」、「音源部」の音の高さや音量を設定する「設定器」から構成されています。「設定器」では、比較的操作頻度が高いと思われる音量調節ダイヤルを本体表面に配置、これまでのユアトーンと同様に音量は10段階に設定できるようになっています。 一方で操作頻度が少ないと思われる音程調整ダイヤルは、電池用のフタを開けた部分に配置しており、こちらもユアトーンと同様に10段階に調整できるようになっています。また「設定器」には、充電お知らせランプにより、使用している電池の充電が減ってきた際に赤色に点滅・点灯してお知らせする機能もついています。使い方としては、写真2の様に「固定ベルト」で音源部を頸部に固定し、「音源部」に内蔵されている発話スイッチを押すことにより、発声することが可能となります。この様に「音源部」を頸部に固定した状態にできることから、両手が自由な状態から、発声をする度に本体を持つことなくすぐに発声することができます。またオプション品の「指先スイッチ」を「設定器」に接続することにより写真3の様に指先の小さなスイッチを操作することで発声することが可能となり、両手がほぼ自由な状態となります。そのため写真4のように、電話をしながらメモを取ることができたり、両手を使う作業をしながらの会話も可能となり、従来の電気式人工喉頭が抱えている大きな課題のひとつが解決できることとなります。また、「指先スイッチ」の代わりに、市販の意思伝達装置用のスイッチ、例えば足で操作ができるフットスイッチなども利用することができますので、足で操作し、両手を使った作業をしながら会話することもでき、これまでの電気式人工喉頭で難しかった様々な生活シーンでの活用ができることになります。もちろん「音源部」を固定する「固定ベルト」は安全面や衛生面にも配慮し、交換が容易な構造であるとともに洗うこともできるものとなっています。

以上、ご紹介させていただいたユアトーン装着型は、もうまもなく皆様にお使いいただける予定です。お使いいただくためには、従来通りに販売するのではなく、本製品の特性上、実際に試していただき、問題なく使えることを確認いただいた後にご購入いただけるような仕組みづくりも検討しております。また合わせて使い方を指導できる人員についても検討していく予定です。弊社は、電気式人工喉頭の国内初のメーカーとしての社会的責任を認識し、これからも北鈴会の皆様をはじめ喉頭摘出者団体等と密な関係を築き、今以上にユーザー目線に立った製品を常に考え、電気式人工喉頭が抱えている様々な課題に対しての研究、そしてその成果をベースとした商品開発に取り組んで参りたいと思っておりますので、引き続きご協力・ご指導よろしくお願い致します。

最後に北鈴会の益々の発展と会員皆様のご健康とご健勝を心よりお祈り申し上げます。