北海道喉頭摘出者福祉団体 北鈴会

旭川医大医師35


北鈴会の皆様へ


旭川医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科
医師 関根一郎

  北鈴会の皆様、こんにちは。旭川医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科の関根と申します。私は旭川厚生病院で研修医として耳鼻咽喉科で研修し、その後は旭川医科大学に所属し、診療しております。

  私が初めて喉頭全摘術を受けた患者様に出会ったのは研修医時代のことでした。その患者様は癌により喉頭の摘出が必要となったものの、声を失う事に不安を抱いておりました。なかなか手術を受ける決心ができずにいましたが、北鈴会の皆さんと面談をすることによって手術を受ける決断をされました。その後、術後経過は良好で笑顔で退院していった様子は今でも強く印象に残っております。

  喉頭全摘を受けるという決断は、声が出せないという状況が想像し難く、難しいものと考えます。北鈴会の皆様は、喉頭がなくても元気に生きていけること、さらに喉頭摘出後も訓練次第では会話ができるようになることを患者様に教えることができます。これは私達がいくら言葉で説明しても分かりにくいことです。喉頭発声を実践している方々と実際に会うことで、より手術後の生活を想像しやすくなると思います。

  昨今では化学療法や放射線療法など、手術療法以外の治療法が発達しておりますが、いまなお喉頭摘出術が最善の治療法であるケースが多くあります。

  声を失うことに不安を抱いている患者様の背中を後押しでき、さらに術後も同じ境遇の仲間として迎え入れていただける北鈴会の皆様は、これから喉頭全摘術を受ける患者様にとって非常に心強い存在であると考えます。これからも皆様と連携しつつ、最善の癌治療をしていけるよう、微力ながらお手伝いさせていただきたいと考えております。

  北鈴会のますますの御発展、御健勝を心よりお祈り申し上げます。