北海道喉頭摘出者福祉団体 北鈴会

がんセンタ35


喉頭摘出患者に関する最近の治療


独立行政法人国立病院機構北海道がんセンター
頭頸部外科医長 永橋 立望

  「喉頭がん」の治療法としては、手術、放射線治療が以前から行われてきています。近年でも大きな変更は、ありません。昨年も説明した、癌の予防の観点で、禁煙活動が、近年様々な形でおこなわれております。喉頭癌は、喫煙と関係することが知られていますので、禁煙活動の普及は、喉頭癌発生の予防にも貢献していると考えられています。特に、受動喫煙対策の点から、東京オリンピツクを前にして、飲食店での禁煙が、実現しつつあります。国の健康増進法改正案では、規模の大きな店、推計で店舗の45%が屋内禁煙の対象ですが、東京都の受動喫煙防止条例では、従業員を一屋っている店となり推計で84%の店舗が屋内禁煙となります。地方都市にも追従の動きがあるとの事です。屋内喫煙が禁上になるにつれ、路上喫煙が増加する可能性が指摘されていますが、すでに東京の千代田区は、路上喫煙が全面禁止にされております。

  札幌も冬季オリンピックに立候補するには、受動喫煙防止条例が必要になるかもしれません。札幌の現状は、『札幌市受動喫煙防止対策ガイドライン(第二版』を平成27年3月に発行しており、札幌市ポイ捨て等防止条例にて札幌市内全域でのタバコのポイ捨て禁止、市内中心部では、喫煙制限区域で、歩きタバコの禁止、携帯灰皿での喫煙の禁止となっております。店舗の屋内禁煙は、法的には、まだ実現していない状況です。国の健康増進法改正案が成立すれば、多くの人が利用する施設の屋内が原則禁煙になります。

  また、電子タバコには、ニコチンが含まれていませんが、加熱式タバコは、 ニコチンが含まれています。発ガン性は、まだ明らかにされていませんが、加熱式タバコは、健康増進法改正案で緩く規制されます。

  「喉頭がん」の治療としては、放射線治療と抗がん剤の同時併用や、抗がん剤を放射線治療の前後に投与する治療法が、喉頭温存の可能性を高めることが認められ、標準治療のひとつになっています。しかし、合併症の状況により、抗がん剤を併用できない時もあります。また、副作用を心配して、抗がん剤治療を選択なさらない患者さんもいらっしゃいます。

  新たな選択肢としての分子標的薬と呼ばれる新薬が登場しており、使用開始後数年経過しております。ただし、このお薬にも、従来の抗がん剤と少々異なりますが、副作用はあります。

  また、免疫チェックポイント阻害剤が、2017年春より治療に使用可能となりました。ただし、現時点では、再発時での使用となっております。従来の免疫療法や分子標的薬とは異なる作用の薬で、免疫細胞の活動の抑制を解除する事により、自己免疫細胞の働きで癌を縮小させるという免疫の薬です。この薬にも、副作用があり、癌以外の自分の体を免疫細胞が攻撃することにより、様々な症状が出現する事があります。

  喉頭全摘後の発声法としてのボイスボタンが普及していますが、漏れなどのために、定期的な交換の必要性があり、手術後から何年たっても通院が必要になるという問題を抱えています。前回のバージョンアップ後、漏れが早期に認め頻回に交換が必要になることが多くなった印象ですが、日本の取り扱い業者も同様の事態を確認しい外国にある製造本社に問い合わせたところ、頻回になったのは、日本だけだと指摘されたそうですが、近々、再度のバージョンアツプ予定との事ですので期待してお待ちください。