独立行政法人国立病院機構北海道がんセンター
頭頸部外科医長 永橋 立望
「喉頭がん」は減少し、飲酒の影響が強いと言われる「下咽頭がん」が増えてきている印象です。
治療法としては、手術、放射線治療が以前から行われてきています。
昨年ご説明した、放射線治療と抗がん剤の同時併用や、前後に投与する治療法が、喉頭温存の可能性を高める最近は、禁煙活動などが効果を現してきた影響で、ことが認められ、標準治療となりつつあります。
しかし、様々の状況により、抗がん剤を併用できない時もあり得る次第です。
また、副作用を恐れるあまり、抗がん剤治療を選択なさらない患者さんもいらっしゃいます。
その点て、新たな選択肢としての分子標的薬と呼ばれる新薬が登場したことは、喜ばしい事です。ただし、このお薬にも、従来の抗がん剤と異なる副作用は、あります。
手術においては、ロボット手術といわれる、通称ダヴィンチという手術機械が、北海道でも多く導入されていますが、現時点では、健康保険の適応がないため、喉頭がんの手術では、使用できません。
レーザー手術もありますが、大きな進歩はない状況で今がちょうど時代の変換点という時期かもしれません。
喉頭全摘後の発声法としてのボイスボタンは、かなり普及していますが、漏れなどのために、交換の必要性があり、問題を抱えています。
報道では、喉頭がん手術をうけられた「つんくさん」が食道発声に取り組んでいますので、今後、食道発声を希望する人が多くなることも予想されます。
また、従来の免疫療法や分子標的薬とは異なる作用の新薬、免疫チェックポイント阻害剤という、免疫細胞の活動の抑制を解除する事により、自己免疫細胞の働きで腫瘍を縮小させる免疫療法の薬も開発され、喉頭癌でも治験として行われっっあります。数年後には、頭顛部がんに使用できるようになるかもしれません。