北海道喉頭摘出者福祉団体 北鈴会

医療大学前田39


北鈴会の皆様へ



北海道医療大学リハビリテーション科学部言語聴覚療法学科
講師 前 田 秀 彦

 北鈴会の皆様方、大変ご無沙汰しております。皆様、お変わりはございませんでしょうか?先日、当方の大学で行われた高校生対象のオープンキャンパスでの一コマを寄稿させて頂きたいと思います。私の所属している言語聴覚療法学科(言語聴覚士の養成を主にしています)も少子化の波には逆らえずなかなか新入生を確保するのが難しい状況となってきています。特に高校生と直接接触できるオープンキャンパスには力を入れており、来て頂いた高校生に様々な体験をしてもらい、言語聴覚士という職業に興味を持ってもらえるよう試行錯誤しています。その中で皆様がいつも利用されている電気式人工喉頭を体験してみるという企画がありました。高校生はもちろんですが、オープンキャンパスを手伝ってくれている学科の学生達も初めて手にする者が多く、手伝いを通して多くの気付きを得ることができました。まずは母音(あ・い・う・え・お)を出せるか試してみます。人工喉頭を当てる位置で音声になったりならなかったり。個人によって良く振動しやすい場所があるということなどは、教科書には決して書かれていません。

次に子音(た・かなど)に挑戦してみます。全く音声になりません。教科書では食道音声など比べると比較的簡単に音声を出せるようになると習ってはいるのですが、やはり使いこなすためには訓練が必要ということを実感する一コマでありました。このような訓練は「北鈴会」をはじめとする喉頭摘出者団体を中心に行われてことを学生に説明してあげました。会では人工喉頭を使ってカラオケ大会などやったりしていることを学生たちに話すととても驚いていたのと同時に興味津々の様子でした。やはり実際に発声教室などに伺い、当事者そして指導者である皆様にお会いし、さまざまなお話を伺い、また、見たりすることは、学生たちの”将来必ず言語聴覚士になる”という夢、そして勉学に対するモチベーションに繋がるのかなと改めて思う一コマでもありました。今後、コロナ感染状況が改善してきましたら、また、学生たちを連れて発声教室にお邪魔したいと考えております。その時はどうぞよろしくお願いいたします。