北海道喉頭摘出者福祉団体 北鈴会

北大38


北鈴会のみなさまへ

北海道大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室

教授 本 間 明 宏

 

 昨年から続く新型コロナ感染がまだまだ収束しないというか、さらに悪化している状況のなか「北の鈴」を発行されるとのことで、関係者のご努力に深く敬意を申し上げます。また、北鈴会の会員のみなさまは、不自由、そして不安な毎日を送っているのではないかと思います。

 さて、頭頸部がんに関する話題に少し触れたいと思います。以前の北の鈴でも触れられており、ご存じの方が多いとは思いますが、ノーベル生理学・医学賞受賞を受賞した本庶佑京大特別教授のPD-1分子の発見が開発につながった免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-1抗体、オプジーボ(一般名¨ニボルマブ)が2017年に頭頸部がんでも使えるようになり、2019年末には同じような薬剤であるキイトルーダ(一般名¨ペムブロリズマブ)も使えるようになりました。両剤とも使える条件が定められておりますが、二剤が承認されているおかげで、再発・転移した方に使える機会は多く、実際、従来の抗がん薬では得られなかったようなすばらしい効果を数多く経験しております。

 新型コロナで医療もかなりひっ迫した状態がしばらくは続きそうですが、この状況はずっと続くわけではなく、今は、トンネルのなかで出口が見えないように感じているかと思いますが、近い将来に必ず収束しますので、希望をもって過ごしていただければと思います。このような状況でもがんに関する研究は継続して行われており、免疫チェックポイント阻害薬のほかにも有望な新しい薬剤、手術器械、放射線治療が次々と開発されております。近い将来に、実際に使えるようになり、みなさまにご紹介できることを私も楽しみにしています。

 北鈴会のますますのご発展、そして、みなさまのご健勝を心よりお祈り申し上げます。