北海道喉頭摘出者福祉団体 北鈴会

JA厚生看護30


北鈴会の皆様へ

JA旭川厚生病院7階東病棟

看護科長  中谷弘美


 北鈴会の皆さまこんにちは。私は耳鼻咽喉科の看護に携わらせていただくようになり早くも10年目になります。当時、病棟編成かおり耳鼻咽喉科ともう1科の混合病棟となったため、病棟の看護師のほとんどが、耳鼻咽喉科 患者さんの看護が初めてでした。看護スタッフ全員で、ひとつひとつ学習を積み重ねながら看護させていただいていた頃に出会った喉頭摘出術を受けられた患者さんのことを今でも鮮明に覚えています。知識も技術も未熟な私は学習しながら、患者さんの経過と変化に何とかついていき看護させていただいていました。患者さんは手術後落ち着いてから北鈴会の見学に行かせていただき、退院後の生活を一緒に考え、セルフケアの確立に向けて練習を繰り返し、不安が軽減され笑顔で退院されました。(北鈴会会員名簿にもお名前が記載されているのでお元気でお過ごしのことと思います)とは言え、今思い起こしても未熟だった看護に申し訳ない気持ちでいっぱいになります。今は、手術を受けられる前に北鈴会の見学に行き、また北鈴会の方が病院まで会いに来てくださることもあり、喉頭を摘出し、声を失うという計り知れない不安に対して、患者さん同士であるからこそ分かりあえることが、不安の軽減につながっているのだと思います。

 喉頭摘出術を受けられた患者さんは退院後に病棟に来てくださり、電気喉頭を使い、また食道発声でお話をしてくださいます。辛い治療を乗り越え、身体的変化を受けいれ、そして第2の声を獲得し、笑顔でお話をされるお姿に、喜びを感じると共に、大変な練習を積み重ねられた努力の結果に、私自身が勇気をいただいています。

 ナイチンゲールの言葉のひとつに「どんな仕事をするにせよ実際に学ぶことができるのは現場においてのみである」とあります。これまでひとりひとり状況や背景が異なる多くの患者さん、ご家族の方に出会い、まさに看護の現場は学びの宝庫と思っています。知識と技術は勿論のこと、看護の現場での学びを活かし、北鈴会の方々のお力をお借りしながら、患者さんとご家族の方が安心して治療を受け、退院後の生活が送れるよう看護していきたいと思っています。

 最後になりましたが、北鈴会のますますの発展とみなさまのご健康とご健勝を心よりお祈り申し上げます。