北海道喉頭摘出者福祉団体 北鈴会

旭川医大医師30


北鈴会の皆様へ

旭川医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科
 医師 平田  結


 北鈴会の皆さま、お変わりないでしょうか。
 2年間の初期研修を終え、旭川医大耳鼻咽喉科・頭頚部外科での勤務も2年目となりました。まだまだ経験の浅い私にとって、日々診療に当たる患者様一人ひとりから学ばせて頂くことが多く、勉強の毎日です。大学病院では入院患者様の約半数が癌の治療を受けておられ、近年は放射線併用化学療法が治療の主体となってきていますが、合併症や既往歴により化学療法や放射線療法が行えない方や放射線併用化学療法後に再発してしまった方にはやはり喉頭摘出術といった手術での治療が適応されています。

 癌という病気の告知を受けて、さらに治療として喉頭を失うことは患者様にとって非常に大きな難しい選択だと思います。しかし、癌という病気のためその選択に長い時間をかけることが現実的には難しい状態です。術前に私たち医師からもなるべく分かりやすく説明するよう心がけていますが、「実際どうなるのだろう?」という不安感はなかなか拭いされるものではないと思います。そうした時に北鈴会の皆さまのサポートは非常に重要で、患者様にはなるべく術前にお話を伺う機会を持っていただくようにしています。食道発声や電気発声などの発声方法について知り、日常生活での苦労話などを伺い、多<の患者様がほっとした表情をされ、手術に対する不安感が少し軽<なったと話されています。また同じ病気を抱えて闘ってきた先輩方の姿を見て、「仲間がいる」と感じられることで、より前向きに治療に取り組んでいただけるようになった患者様もいました。そうした姿を見て、私たちも非常に嬉しく感じています。

 大学病院は教育の場でもあり、臨床実習中の学生さんや研修医の先生が外来診療や病棟診療の場に立ち会っています。授業などで喉頭摘出術について習っていても、実際に喉頭摘出された患者様に会う場面はそう多くありません。そうした場合は患者様にもご協力を頂き、学生さんと直接お話していただくことがあります。喉頭がなくても上手に食道発声や電気発声されている患者様に彼らも驚かされ、また声を失うという大きな障害を乗り越えられている姿に感動する学生さんもいました。北鈴会の存在についても、そうしたサポート体制の重要さを感じているようでした。

 これからも北鈴会の方々には喉頭摘出術を受けられる患者様のサポートをお願い申し上げますとともに、少しでも多くの患者さんが良い治療を受けられるようまだまだ若輩者の私ではありますが、微力ながら貢献していければと思います。