北海道喉頭摘出者福祉団体 北鈴会

旭川医大医師29


北鈴会の皆様へ

旭川医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科
 医師 山木 英聖

北鈴会の皆様はじめまして。今年4月に旭川医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科に入局させていただいた山木と申します。昨年も研修医として、1年間旭川医科大学耳鼻咽喉科で研修しておりましたが、その時に、はじめて喉頭摘出術を受けられる患者さんを担当させていただきました。また、その時にはじめて北鈴会の存在を知りましたが、まだその時は北鈴会の皆様がどれほど喉頭摘出患者の心の支えになっているかを知りませんでした。今年に入り2人の患者様が喉頭摘出術を施行され、北鈴会の皆様にお世話になっております。

手術の前には我々が手術の必要性、声を失ってしまうこと、術後に出来なくなる、あらゆることを想定して丁寧にお話しますが、患者様が手術の必要性を理解し、声を失うことを受容されるのに時間を要することも少なくありません。当科では喉頭癌で喉頭摘出術が必要な患者様がおられる時には、北鈴会の皆様に病棟へ訪問していただいております。私達が言葉で何度説明するよりも、「百聞は一見に如かず」と言いますように、北鈴会の方が術後の生活について直接お話して相談に乗ってくださり、上手に声を出してお話している姿をみて、手術への不安が軽減され、術後は北鈴会の皆様のように上手に話してみたいと希望を持つことができるようになられます。

 近年の医療の進歩はめざましく、耳鼻咽喉科領域においても機能温存、再建技術が進んできております。当科でも最近は放射線科と協力して高濃度の抗癌剤を腫瘍の栄養血管に直接投与する超選択的動注化学療法を行なうようになり、喉頭摘出術を受けられる患者様の数も減少傾向になっております。しかし、進行癌で両側声帯麻痺があったり、腎機能障害等の合併症があって抗癌剤治療ができなかったり、放射線治療や抗癌剤治療法が効きにくいタイプの腫瘍の場合には、現在でも喉頭摘出術は重要な治療法です。まだまだ若輩者ではありますが、喉頭をはじめ様々な耳鼻咽喉科の疾患に悩まされている患者様に1日も早く笑顔が戻るよう、微力ながらお手伝いさせていただきたいと考えております。

これからも喉頭摘出術をうける患者様のサポートをお願い申し上げますとともに、北鈴会のますますの発展と北鈴会の皆様のご健康とご健勝を心よりお祈り申し上げます。