北海道喉頭摘出者福祉団体 北鈴会

旭川厚生医師28


北鈴会の皆様へ

旭川厚生病院耳鼻咽喉科
医長 吉野 和美


北鈴会の皆様こんにちは。お変わりありませんでしょうか。私の方は今年4月から旭川厚生病院へ転勤となりました。実は平成17年にも一度旭川厚生病院耳鼻咽喉科で勤務させて頂いた経験はありますが、6年の月日が経過しており、時代の進歩とともにシステムなども改良されており、遠い記憶をたどりながら悪戦苦闘している日々です。また赴任当初は東日本大震災の影響で東北に工場のある薬剤会社の薬の供給が待に合わず、薬の種類によっては長期投与が困難となり、1ヶ月と制限が設けられ不便な思いをした患者様も多くいたことと思います。3ヶ月が1ヶ月投与になった影響もあり外来は普段の倍以上の混みようで、患看様にも辛い思いをさせてしまったと感じています。当院耳鼻咽喉科の全身麻酔の手術件教は年間約380件、うち昨年は2例喉頭全摘出術を施行しております。最近は時代の流れとともに機能温存が叫ばれていますので、どこの施設でも喉頭摘出術の数は減少してきております。ただ全例が機能温存可能というわけではなく、病気と真っ向から戦うためには喉頭摘出術という手術は現在でも大切な術式の一つとなっておリます。

今年赴任して早々喉頭摘出術がありました。手術施行看者様は「幾度なく喉頭摘出術について主治医の先生は説明してくれるのだけど、なかなかピンとこないんだよね。声が出せなくなるんだって?不安も大きいんだ。」と、たまたま私が入院患者の回診をしている時に、色々な質問が飛んできました。喉頭摘出する患看様には出来る限り手術前に北鈴会へ行く事をお勧めしています。この様な質問が患看様から飛んでくる事はよくあることなので、一見は百聞にしかずだと思っているからです。患者様は手術後北鈴会へ行く事を考えているとのことでしたので、説得して手術前に行って頂く事にしました。不安な日々を送るより、北鈴会で元気に過ごしている方の笑顔をみて頂きたいとお話ししました。北鈴会から帰ってきた患者様は、食道発声、電気発声、色々な発声方法を実際みてイメージがわき、また実際頑張っている仲間達が多くいる事に勇気づけられているようでした。手術直前には「まだまだ仕事をしたいからね、頑張るよ。」と手術に対して不安は多くあるものの、前向きになっている患者さんをみると嬉しく思いました。

また当院外来には喉頭摘出後の患者さんが今も元気に通っています。北鈴会ベテランさんも多くいます。最近の治療事情など色々な情報を知っているのを耳にすると、本当に頭が下がる思いです。ベテランさんになると、手術の方法により食道発声がしやすいとか、しにくいとか、解剖を熟知し術式まで把握しているのには感心です。共に勉強し、共に支え合っている姿はとても素敵な会だと思います。

これからも北鈴会の方々に多くの幸せをもらって笑顔になってくれる患者さんが多くいるよう、そして私達も治療に全カを注ぎ、少しでも多くの患者さんが幸せになれるようサポートしていきたいと思っております。